モーツァルトの音楽は本当に面白い。
表情の変わり方が半端なく、1小節ごとにコロコロと変化していきます。
今笑ったかと思えば、今度は重苦しくなり、涙を一瞬見せたかと思えば、急に周囲を驚かせ、それに皆が騙されたことを楽しんでいる…。これが1小節、半拍ごとに訪れるんです。
また、単純な繰り返しはしないで、いつも次々と同じフレーズに手を加える…もしもモーツァルト本人が目の前で演奏してくれていたら、即興演奏としか思えないでしょう。サービス精神が本当に旺盛で、聴く者を常に喜ばせようとしています。
そんな特徴がふんだんに出ているのが、K.330なんです。特に第1楽章はモーツァルトの権化のような曲と言えます。
しかし、それも、彼の多様な音楽性の一部に過ぎない…モーツァルトの音楽は、「分かりやすい」音楽の代表のようでありながら、知れば知るほど実に奥が深い。
モーツァルトの弦楽器のための曲に関しては、また是非別の機会に書きたいと思います。
飯塚