ハイドンといえば交響曲を数多く作曲しことで有名です。107曲も書いたことから、「交響曲の父」とも呼ばれています。
ハイドンの交響曲は非常にユニークなものが多く、ニックネームを持つもの沢山あります。
たとえば、「朝」「昼」「晩」「火事」「悲しみ」「校長先生」「うっかり者」「時計」「軍隊」「V字」「ロンドン」などなど、まだまだ沢山あるのですが、中でもとりわけ面白いのが第45番「告別」です。
まず調性が「嬰ヘ短調」というのも強烈です。ハイドンといえども、この調は1曲しか使っていません。
ハイドンが活躍したこの「古典派」と言われる時代は、簡単に言うと「誰が聞いても楽しめる、明るくて分かりやすい音楽」が非常に好まれました。
ですから、短調が支配するこの曲は、とても異質な感じがしたはずです(もちろん「疾風怒涛期」という、こうした異質な曲が流行した時期もありましたが)。
しかしこの曲を、最もユニークならしめているのは、その最終楽章です。
なんと、曲が終わりに近づくに従って、演奏者が一人ずつ舞台から去ってゆき、最後には2人だけが残ります。
これはCDなどで聴いてもあまり伝わらないのです…というのも、「ホルンが休み」「オーボエが休み」「チェロが休み」なんてことは、シンフォニーを演奏中には普通にあることなので、舞台から去っていく姿が見えなければ、聴いている側は「単なる休みかな?」と思ってしまいます。
ところが、今年の1月1日に行われたウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで実演を見ることが出来たのです!
ハイドン・イヤーを記念して取り上げられたのですが、なかなか第45番の実演を見ることは少ないので、非常に貴重な映像でした。
機会があったら皆さんも是非ご覧下さい!
飯塚
ラベル:ハイドン