2009年09月16日

漕げ漕げお舟

飯塚教室演奏会は10月17日(土)です!


音楽は言葉を越えた文化の代表でありながら、音楽そのものは、言葉の影響を少なからず受けて成り立っています。


例えば、我々日本人が作る音楽は日本語のリズムや抑揚をいつの間にか反映したものになっている、というわけです。


もちろん、特に現代のように世界同時進行的な世の中では絶対ではありませんが、時代を遡るほど、歌詞の有無に拘わらず、そうした影響がその音楽の「アイデンティティ」を作る一つの要素になっているということは、間違いなく言えると思います。


ですから、たとえ何となくでも、色々な外国語の発音やイントネーションのイメージを頭の隅に置いておくことは、外国の音楽を解釈、理解したり演奏、表現したりする際に、非常に役に立ちます。


他にも、いわゆる「国民性」やその国の文化なども、当然ながら影響していますが、やはり言葉によるそれはとてもストレートに現れます。


イタリア語の母音の豊かさが、あのカンタービレを作り出すのでしょうし、

ドイツ音楽のキッチリとした進行はドイツ語の響きに似ていますし、

フランス音楽の持つ独特のアンニュイさは、フランス語の雰囲気そのものですし、

英語のポップスに良くある速いスキップのようなリズムは、英語の抑揚そのまんまです。


以前、「マザーグース」の詩を吹き込んだCDを聴いたところ、それがなんとイギリス起源のダンス、「ジーグ」のリズムと全く同じでした!


音楽は文化交流の入り口となり、言葉がその次のステップとなるのですね。

飯塚
ラベル:言葉
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2009年09月15日

飯塚教室 発表会のお知らせ その1

来月行われます、飯塚教室の演奏会のお知らせ、第1弾です。


まずは日時です。

10月17日(土) 午後5時30分開場 6時開演 (8時ごろ終了予定)


場所です。

常盤木学園 シュトラウス・ホール (仙台市宮城野区小田原4丁目3−20)


もちろん入場無料で全席自由です。


内容は…

 ・ スズキといえば斉奏
 ・ 少人数のグループによる演奏
 ・ 独奏
 ・ アンサンブル
 ・ 飯塚教室の弦楽合奏団 『コレギウム・ムジクム仙台』による合奏

などなど、盛りだくさんです!

発表会チラシ.pdf

多くの皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。

飯塚
ラベル:お知らせ
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2009年09月14日

61の制約

ピアノという楽器は18世紀の初めに誕生しました。

クリストフォリという製作家が「発明」したのですが、それ以前に活躍したチェンバロに比べて鍵盤のタッチが重く、バッハなどはお気に召さなかったようです。


発明当時のピアノを、現代のピアノと区別するために便宜上“フォルテピアノ”と呼んだりします。

なぜ区別する必要があるかというと、様々な点が異なっているからです。


まず鍵盤の数ですが、現代のピアノが88鍵あるのに対し、当時は61鍵が普通でした。チェンバロなどもその数が通常です。今のものと比べて高音域と低音域が少ないのですね。

ですから、バッハやヘンデル、ハイドンやモーツァルトの楽曲などは、この鍵盤の範囲よりも高い音、低い音が出てこないというわけです。


そして、弦を張る力も違います。現代のピアノは中を覗くと大きな「鉄板」の様なものが入っていて、それに弦をかなり強く張ってあります。何トンという力だそうです!これによってとても大きくて力強い音が出せるわけです。

ところがフォルテピアノは外見も中身もボディはすべて木製です。ですからあまり強く弦を張ると木の板が歪んでしまいます。それに伴い、音の大きさもそれなりでした。


そうすると当然見た目も違います。細身で、華奢で、木材の質感の分かる外見をもつフォルテピアノに対し、真っ黒で、いかにも重たそうな現代のピアノは、まさに「楽器の王様」といった風貌です。


フォルテピアノは、ベートーヴェンの時代、というよりもベートーヴェンの音楽的要求に合わせて?、急速に進化をしていきました。

鍵盤数もその時代に88鍵まで増えましたし、大型化に伴い音量も増しました。ピアノはその内部で弦をたたいて鳴らす構造ですが、そのシステム自体も変化していきました。


現代の様な形に落ち着いたのは大体20世紀に変わる頃です。スタインウェイによって現代の形にまで変化を遂げました。


ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、このピアノの進化と共にあります。

第1番、第2番はモーツァルト時代と同じ小さなフォルテピアノで弾かれましたが、第3番、第4番、そして偉大な第5番という風に、徐々に音楽の規模も、必要な鍵盤数も、大オーケストラに対抗するだけの音量も増していきました。

ベートーヴェンの音楽的要求がピアノを発展させたのか、もしくはピアノの発展がベートーヴェンをインスパイアしたのか。


そのような観点から各協奏曲を聞き比べてみるのも、面白いですね!

飯塚
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2009年09月09日

友、遠方より来たる

今日は、昨日のスズキ教育法研究会に出席するため、わざわざ札幌から仙台まで来て下さった山同直樹先生と、昼食・お茶かたがた、沢山お話しをさせて頂きました。

山同先生と私は同い年ということ、そしてスズキ・メソードの地区区分では「北海道・東北地区」という同地区所属であるということなどの理由もあり、親しくさせて頂いております。


同地区とは言え、札幌と仙台は海を越えなければなりませんし、年数会の全国イベントを除けば、普段はなかなかゆっくりとお話しさせて頂く機会もないので、ここぞとばかりにお互いの近況や普段のレッスンでのことなど、様々に情報交換し合いました。


このように全国各地に同じ志の下、同じ様な喜びや悩みを持って日々活動している方達がいらっしゃるというのも、なんとも心強いものです。

ちなみに、札幌支部山同クラスのホームページはこちらです。

飯塚
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2009年09月08日

スズキ教育法研究会

今日、全国のスズキ・メソード指導者の皆さんを対象とした、「スズキ教育法研究会」が開催されました。


北は北海道から南は九州まで、本当に色々な土地から仙台まで参加して下さいました。おいでいただいた指導者の先生方、本当にありがとうございました!


今回は、中嶋嶺雄会長と、豊田耕兒芸術監督までいらっしゃいました。


初めに先生方の講演と、それに纏わる質問という流れで会は進行しました。


最後には、時間が足りなくなるほど議論が白熱しました。


こうした会に参加して得られたものが、普段のレッスンを通じて会員の皆さん、生徒の皆さんにお伝えしていけるよう、また頑張って参りたいと思います!

飯塚
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2009年09月07日

クロスオーヴァー

仙台では今週末、毎年恒例の“定禅寺ストリートジャズ・フェスティバルが開催されます。

けやき並木に覆われた定禅寺(じょうぜんじ)通りとその周辺が、沢山のバンドやお客さんで埋まります。


ジャズ・ヴァイオリンといえばステファン・グラッペリと、何と言ってもスタッフ・スミスが有名です。


スタッフ・スミスのあの独特の、しゃべるような歌うような、自由自在の演奏、グルーヴ感は、とてもマネの出来るものではありません!ホントに魅力的です。


また、もともとはジャズ畑のジョージ・ガーシュインの曲も、クラシックの演奏会では良く演奏されます。


ラヴェルのヴァイオリン・ソナタの第2楽章“ブルース”も、クラシックとジャズのクロスオーヴァーとして有名です。


普段クラシックの方を沢山聴かれる方も、普段は敬遠しがちな方も、どちらの視点からも楽しめる音楽です。


というより、あまりジャンルにこだわっていても、仕方ありません。音楽は音楽なんです。


飯塚

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2009年09月06日

こぼれ落ちた。

せっかく頑張って掴みかけたものが、その直前に手からこぼれおちる…そんなことって、ありますよね。

私は頻繁に経験していますが、たった今も、また経験しました。


数十分かけて書いたブログが、なぜか保存されなかった…。

何かの操作ミスに違いありません。


そんな時は、むなしさで一杯になりながら、それをネタにまたブログを書く。


一度きりしか使えない手ですが!


今日書いて儚く消えたあのネタに合掌しつつ、いつかまたここに復活させることを心に誓いつつ。


明日また頑張ります…。


ともあれ、何か一つくらい。



最近、またバッハの無伴奏ソナタとパルティータを聴く機会が増えました。


しかし、これは本当にとてつもない曲です。


1720年に書かれてから、約290年くらい経っても、その輝きはまるで失われることがない。


とても難しく、容易には扱えないし、もし万が一、仮に技術的に演奏が可能になったとしても、その演奏解釈がまた非常に難しい。


どの方角から登っても、簡単なコースが無い、険しい山のように聳え立っています。


それでいて、その姿は厳格にして美しいだなんて。



おそらく今後500年経っても、ずっと金字塔のままなのでしょう。


ちなみに私はまだ、その山に近づく道に迷い続けています。


消えた文書と全然違うものを書いてしまった。

飯塚

posted by suzukimethod at 11:30| 音楽コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月05日

魔法の笛

世の中にオペラ数あれど、モーツァルトの「魔笛」ほど親しみやすいものはそう無いでしょう。

親子で楽しめる、入門オペラの決定版です。


お話の内容も非常に分かりやすく、音楽も楽しさ満載です。

コミカルなキャラ、「パパゲーノ」が常に表情をにこやかにしてくれます。


この魔笛は、作曲当時からとても人気が高く、大当たりでした!


しかし残念ながら、モーツァルトは「魔笛」の人気のさなかに亡くなってしまいます。


モーツァルトは子供時代、父親に連れられてヨーロッパ各地を旅行し、行く先々で「神童」としてもてはやされ、沢山の曲を残しました。


ところが段々と青年期から成人してゆくにつれ、その人気に陰りが見え始めます。


周囲の反対を押し切ってウィーンに出て、そこで当時はまだ珍しかった、フリーの音楽家として活動を始めます。


初めこそ大人気でしたが、そこでもどんどんと人気が落ちて行きました。


借金を重ね、病気にもなり…苦悩を重ねているそんな中、久々に大ヒットとなったのが「魔笛」だったのです。


もしかしてもっと長生きしていたら、このヒットがきっかけでまた人気が復活したかも知れません。



ちょっと話が暗くなりましたが…反対に、そんなときに書かれたこの「魔笛」に満ち溢れた明るさ!


どんな状態でも、音楽に徹する職人としてのモーツァルトのすごさです。


飯塚

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2009年09月04日

より良き1回

スズキ・メソードでは、「練習は食事と同じ」扱いです!

つまり、「ご飯を食べる日は練習をしましょう!」「練習をしなくて良い日があるとすれば、食事をしない日です!」ということなのです!


毎日欠かさず練習!を目標に、生徒の皆さんは自宅での学習に取り組んでくれています。

本当に毎日…家族旅行などにも旅先に楽器をもって行く、あるいはピアノの場合には現地で楽器を手配などして、病気やけがなどをしないように自己管理にも十分気を配り…欠かさず練習するにはどれほどの努力が必要か!練習そのものに励む生徒さんもさることながら、それを支えるご家族の皆さんにも、本当に頭の下がる思いです。


しかし反面、毎日同じように練習を繰り返していると新鮮味が無くなり、集中を欠いた「作業」になりがちです…。

練習量がより多ければ、それだけ能力が育つのが人間のシステムですから、もしも内容に乏しい練習を繰り返せば、それだけ内容の乏しい能力が出来あがってしまうことになるのです。


ですから、昨日よりも今日、今日よりも明日、今の1回よりも次の1回をより良きものにしていくことが要になってきます。


しかしながら、この「より良き1回」が本当に難しい。

この実現のために、どういったヒントがあるのか?

スズキ・メソードの本質に拘わる部分です。


この続きはまた!

飯塚
posted by suzukimethod at 16:31| 音楽コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月02日

ここにもあそこにも

普段の生活の中で、結構クラシック音楽に触れる機会はあるものです。

1番はTV、中でもCMは印象に残るものが多いですよね。

気になる曲があったら、好機を逃さず、そこから思い切ってCDを購入してみるのも良いかもしれません。

曲名などが分からなくとも、今はインターネットの時代ですから、きっとすぐ調べが付くはずです(ちなみに私は昔TV番組のBGMが気になり、TV局に電話をかけて問い合わせたことがあります。すぐに教えて下さいましたよ)!


学校で歌った曲が、実はクラシックの名曲だったりすることもありますよね。

たとえばドヴォルザーク交響曲 第9番 「新世界より」の第2楽章が「遠き山に日は落ちて」として、もしくはスメタナ交響詩「わが祖国」の第2曲「ヴルタヴァ」が「モルダウ」の名で歌詞がついた合唱曲として親しまれていたりします。こうした曲は、大人になってもメロディがずっと頭の中に残っていたりするものです。


そういった曲があったら、思い出とともにもう一度楽しんでみるのも、とてもワクワクすることです。

そのときに感じたことや、出来事など、きっと思い出されることでしょう。


そうした思い出を、ご家族で共有するのも素敵ですよね!


色々な場所に、機会は転がっているものです。

飯塚

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2009年09月01日

エピソードI,II,III

管楽器が華やかに活躍する協奏曲は、何故かあまり多くありません。

もちろん無いわけではないのですが、ピアノやヴァイオリンのためのものに比べると、数は少ないのが現状です。


それでもモーツァルトには管楽器が主役になる曲が多いですから、演奏会や録音などでも良く取り上げられます。


どんなものがあるかと言いますと、

フルート協奏曲が2曲

オーボエ協奏曲が1曲

ファゴット協奏曲が1曲

ホルン協奏曲が4曲

フルートとハープのための協奏曲が1曲

そして彼の生涯最後の協奏曲であるクラリネット協奏曲が1曲です。

また2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネという曲にも管楽器のソロがあります。

ちなみにモーツァルトが初めて書いた協奏曲というのがどうもトランペットのためのものだったらしいのですが、こちらは現在楽譜が見つかっておらず、いまだ謎のままです…。


他にも、複数の管楽器(オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)のための協奏交響曲があり、これはモーツァルトの自信作でしたが!…こちらにいたっては、初演の直前に楽譜が丸ごと紛失してしまいました…当時モーツァルトはパリのオーケストラ奏者達のためにこれを書いたのですが、楽譜が突然無くなったのは、「自分の名声を妬んでの誰かの陰謀」という由のことを語っています。これも非常に残念ですね!しかしこのエピソードが非常にモーツァルトらしい。


またフルート協奏曲は2曲あるのですが、その第2番といのが実はオーボエ協奏曲の焼き直し版で、当時モーツァルトに大金を払って作曲を依頼した人物は、新曲でなかったことに立腹したという記録も残っているようです。これもモーツァルトらしいエピソードですね!


モーツァルトより前の時代に遡りますと、バロック期には「協奏曲の鬼」といっても過言ではないヴィヴァルディや、楽曲の多さでは誰にも負けないテレマンらをはじめ、管楽器の協奏曲は数を増してきます。


そういった伝統を次の古典派の時代にもキチンと受け継いでいるところもまた、非常にモーツァルトらしいところです。

飯塚
posted by suzukimethod at 23:39| 音楽コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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