2010年06月20日

さらに熱くなりました。




シューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番も、フェルディナント・ダーヴィトのために書かれました。


そもそもシューマンのヴァイオリン曲は皆晩年に、つまりシューマンに精神病の傾向が現れてからの作品と言われ、曲の内容にもその影響が出ている、と指摘されることが多いようです。


確かに、若いころに書いたピアノ曲の精緻さや、シンフォニーで見せた完成度の高さとは違うものを感じます。


それはたとえば、内側から湧き上がってきた旋律を思いのままに五線にどんどんと書き落としていったような、推敲や反省を繰り返して成り立ったものとは違う、作曲家の本来持つ「生」の部分がそのまま味わえる、そういう感覚かも知れません。もちろん、この作品も推敲や反省を持って書かれてはいるのでしょうが、そういう感覚にとらわれます。


内容的には、第1番のソナタ同様やはり高音をあまり用いず、シンコペーションを多用したより複雑なリズムでピアノとの対話も難しさが増しています。


第1番の方は抑制と開放を繰り返したパッションは、第2番ではより放出される方向にあります。


とにかく、簡単に言うと、もっと熱い曲です!


何年前でしょうか、仙台でジャン・ジャック・カントロフがリサイタルを開いた際、この第2番のソナタを取り上げていました。生演奏を聴くことが出来たのは非常に幸運でした!


さて、最近YouTubeでこの曲の名演を見つけました。


最近とても人気のあるフランスの若手ヴァイオリニスト、ルノー・カプソンと、言わずと知れたマルタ・アルゲリッチのライブ演奏です。


かつてないほど熱い演奏です!すばらしい!


ご紹介しているのは第4楽章の演奏ですが、全楽章見られるようです。是非ご覧ください!


飯塚
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2010年06月14日

熱いのは湿度のせいではなく

またシューマンの話題で引っ張ってみます。

今日はヴァイオリンについてです。


シューマンのヴァイオリン曲は、一般的にはヤハリほとんど知られていません。


ヴァイオリン・ソナタが3曲と、ヴァイオリンとオーケストラのためのファンタジーが1曲、そしてヴァイオリン協奏曲が1曲存在しますが、そのどれもがすぐに頭に思い浮かぶとおっしゃるかたは、かなりの通です!


ところが、このヴァイオリン曲はどれもブログに書くような話のネタに関しては満載なのです。


なので小出しにすることにしまして、今日はソナタについて書きます。



3曲のヴァイオリン・ソナタのうち、第1番はフェルディナント・ダーヴィトのために書かれました。


ダーヴィトは、当時非常に影響力のあったヴァイオリニストの一人で、メンデルスゾーンが率いていたライプツィヒのゲヴァントハウス・オーケストラのコンサート・マスターでもありました。


(ちなみに、あの有名なメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲やヴァイオリン・ソナタも、このダーヴィトのために書かれたのです。)


ピアノ・パートはもちろん、クララ・シューマンが受け持ったのでしょう。


内に秘める「魂の叫び」を、増幅させては時に爆発させる、非常にシューマンらしい、熱い作りの曲です。


が、全体にヴァイオリンがあまり高音を使わないため、一見「地味」で華やかさに欠けるように感じられるのです。


シューマンのヴァイオリン・ソナタは、苦労の割に演奏効果が上がらないなどと、不届きな批評を良く目にするのですが、それは本質を見極めていない、表層的な感想なのです!


シューマン好きにとっては、そこがいいんです!


数年前には、庄司紗矢香さんセルゲイ・ハチャトゥリアンがこの曲をコンサートで取り上げ、NHKで放送されていました。


お二方とも、本質を突いた素晴らしい演奏でした!


こんなにも無名なこの曲が相次いで取り上げられたことの陰には、最近ヘンレという出版社で最新版の楽譜が発売されたことも大きいのでは?などと想像します。


さらに6月20日(日)、白石市のホワイトキューブというホールで、佐藤俊介さんリサイタルの中でこの曲を演奏されるようですね。どんな素敵な解釈が聴けるのでしょう!


なかなか生で聴く機会の少ない曲です。


お近くの皆さま、是非足を運んでみましょう!


飯塚
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2010年06月07日

浜松にはうなぎがイール。

本日6月7日(月)から10日(木)まで、静岡県浜松市を会場に、スズキ・メソードの全国指導者研究会が開かれております。


で、今その浜松のホテルから書き込みをさせて頂いている次第です。


この研究会は毎年恒例の行事で、朝9時から夜9時まで、日頃の教室での指導に関する研究や情報交換を行うという、とても有意義な会なのです。


スズキ・メソードの指導者をしていると、こうした会に参加できることが非常にありがたく感じます。


もしも全く個人で指導者をしていたら、普段出くわす様々な指導上の難題や課題をクリアしていくことに時間がかかることでしょうし、全国や、時には日本以外国々の沢山の事例を垣間見させて頂けることで、多くのヒントを持ち帰れるのです!


持ち帰れればです!


少しは教室の皆さんにもフィードバック出来るように、頑張って参ります!

飯塚
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2010年06月02日

こちらも乙なんです。

この間の書き込みからずっとシューマンにハマっておりまして、色々と聴き直している次第です。


で、今日はチェロについて書いてみます。


シューマンはチェロのために、ソナタこそ書かなかったものの、小品を結構残してくれています。

それらは極めて個性的な曲が多く、シューマンらしさに満ち満ちています。


シューマンの、ピアノ以外の楽器のために書かれた器楽曲は、楽器指定が複数あることが多いんです。

例えば、ヴィオラのために書かれたけれど、チェロやヴァイオリンでも弾いてよい、というような感じです。


ホルンとピアノのためのアダージョとアレグロという曲があるのですが、この曲もやはりチェロでもヴァイオリンでも演奏可能です。

というより、むしろチェロで弾かれることの方がむしろ多いのでは?と思える程です。

で、この曲が、また個人的に大好きなんです。

シューマン特有の、陰りを含んだロマンティシズムがとてもたまらないんです。


まだお聞きになったことの無い方は、この機会に是非!

飯塚


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