支部合同演奏会の曲目解説シリーズ、今日は3曲目の、
『ヴィヴァルディ作曲 ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品3の6より第1楽章』です。
この曲は、スズキ・メソードの子供たち(…大人たちもですね!)からは、通称『a-moll(アーモール)1楽章』と呼ばれております。
a-mollと申しますのは、イ短調をドイツ語で言い換えたもので、ヴィヴァルディ自身はイタリア人ですからもちろん彼が付けた通称ではありませんし、以前海外のスズキの先生のお一人が、『日本で言うところの俗にいうアーモール』的なことを仰っていたので、おそらく非常に狭い範囲での俗称だと思います。
さて、その『アーモール』なのですが、これはヴィヴァルディの最初の協奏曲集である作品3『調和の霊感(L'estro armonico)』に収められております。
この作品3は、当時ヴェネツィアの慈善音楽院の一つで音楽教師をしていたヴィヴァルディが、その音楽院の女子生徒達のために書き溜めた協奏曲を出版したものとも言われており、全12曲から成っています。
ヴィヴァルディの時代、この「協奏曲」というジャンルは非常な発展期にありました。
例えば、2つのメロディー楽器が低音楽器の伴奏に乗って競い合うように演奏しているような、ほぼソナタのような楽曲でも、「協奏曲」というタイトルが与えられていたりしましたし、反対にコレッリの協奏曲は、ソリスト2人か3人に対し、およそ100人の規模で伴奏したとのことですが、こちらも「協奏曲」と呼ばれました(ちなみにこちらは「合奏協奏曲」と呼ばれました)。
ヴィヴァルディの活躍したヴェネツィアでは、1人(時に2〜4人)のソリストを前面に押し出し、名人芸を披露するようなタイプの協奏曲(=独奏協奏曲)が出始め、流行しました。
中でも、ヴィヴァルディの作品3は非常に人気を博し、ヨーロッパ中に独奏協奏曲が拡まるきっかけとなったのみならず、現代まで続く独奏協奏曲のフォーマットとなったことは大変な貢献です!
「アーモール」は作品3の第6曲ですが、易しめの演奏レベルということもあり、初歩の生徒たちのあこがれとなっています。
今回演奏するヴァージョンは、20世紀に入ってからナッシェという人物が編曲したものです。
溌剌とした、いかにもイタリアン・バロックという1曲です!
スズキ・メソード仙台支部合同演奏会
3月15日 13:00開場 13:30開演
日立システムズホール仙台 コンサート・ホール
入場無料 全席自由
未就学児も入場可能です!
チラシはこちらを。