2009年08月10日

古くて新しい

早熟の天才作曲家と言えば、誰しも思いつくのがモーツァルトですが、そのモーツァルトに負けず劣らずの才能を発揮したのが、フェリックス・メンデルスゾーンでした。

38歳という若さでこの世を去っている点も、モーツァルトに似ています(モーツァルトは35歳で没しています)。


この二人の作曲家に共通する点はそれだけではありません。

早くから才能を発揮した陰には、両者とも非常に幼いころから音楽教育を受けていたことも、共通しています。

ですから、それぞれの同時代のどの作曲家にも増して、この両者の音楽には、彼ら以前の時代の音楽の遺伝子が強く息づいています。


面白いと思えるのは、今述べたように二人の音楽は非常にしっかりと伝統に基づいていながら、同時にそれまでの音楽にない新しさをとても巧みに表している点です。

時に、「新しい」というと、単に「目新しい」ものを提示するだけに終わってしまうこともあります。

しかし、伝統の先に施された新しさには、説得力が伴います。

音楽や作曲のこと、もしくは音楽史のことをあまり分かっていない場合には、一体何が新しいのか分からないことすらあるくらいですが、そのことが反対に、いかにこの二人の作曲家の音楽がしっかりとした土台の上に築きあげられているかという証拠でもあるのです。


現在最も演奏されているメンデルスゾーンの曲と言うと、もちろんヴァイオリン協奏曲 ホ短調がまず思い浮かびますが、この曲も、それまでのヴァイオリン協奏曲には見られない新しいことがふんだんに盛り込まれているのです。

しかし、何気なく聴いても、そんな難しいことは意識されない。ただただ美しく繊細で、どこまでも聴く者を惹き付けます。むしろ余計なことは考えず、音楽に浸ってしまいます(ちなみにモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第5番も、そうした新しさに満ちた究極の名曲です)。


「永遠のスタンダード」というと、確実なつくりをしていそうでありながら、実は新しさの塊でもある。そんな、一見相反するものがみごとに共存しているところに、さらに魅力を感じてしまいます。

以前ここで紹介させていただいた通り、今年はメンデルスゾーンの生誕200年記念の年に当たります。

メンデルスゾーンに近づくきっかけにしたいですね!

飯塚
posted by suzukimethod at 23:58| 音楽コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする