2009年08月22日

ありがたい

この9月に、ベーレンライター社から新しいエディションのベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲が発売されるようです。これはちょっとワクワクしますね!


と、このことを書く前に、ベーレンライターとは何だ?を解明しておきますと、ドイツの楽譜出版社のことです。


世の中に楽譜の出版社は数々ありますが、このベーレンライターという会社は非常に分かりやすい特色があります。


それは、「作曲家がその手で書き記したものを、出来得る限り、その意図に忠実な印刷譜にして出版する」というものです。


「それって当たり前のことでは?」と思ってしまいますが、残念ながら?世に出回っている楽譜のほとんどは、このベーレンライターのポリシーから外れています。


なぜ外れたものをわざわざ出版するかというと、その方が実用的だからです。


たとえば、今回出版されるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、過去に遡れば相当な数の印刷譜が出版されたことでしょう。


その出版に際して、それを編集したり、校訂したりする方がいます。そうした方々が、明らかな間違いや手書きでは曖昧だった箇所に、訂正・補筆を施してから出版されます。もちろんこうした編集は客観的に行われるのですが、もちろん人間ですから、編者によって判断が異なる場合も出てきます。


それだけでなく、演奏に当たって我々が見たときに、作曲家が(当然ながら)書かなかった、弓使いや指番号や、本当は無かったスラーを付けて弾きやすくしてくれたり、「ここはスタッカートで弾いた方が良いだろう」「ここはリタルダンドすべきだろう」などなど元々は無かった記号を追加してくれたり、時には「ここはこの音のほうが良いかな」という具合に本来とは違う音やリズムに変えてくれたり!


という風に、主観的な数多くの「手」が加わって出版されることがほとんどなのです。ですから、同タイトルながら、楽譜の数だけ異なる内容のものが存在することになります。違いは、見た目だけではなかったのです!


ですが、こうした「手」のおかげで、実用的に、幅広い層の演奏者がその音楽を楽しむことができることも事実です。



ベーレンライターは、こうした後世の「手」を取り除き、「直筆譜どおりに出版」「もし直筆譜が消失した場合には、その道のエキスパートが研究により可能な限り原典に近づけて出版(この場合には詳細な校訂報告が付きます)」してくれるのです。

これは実用譜をわざわざ作って出版してくれることと同じくらい、有難いことです!


本来作曲家が意図していたことは何だったのか?に最も近づけるからです。


ところが最近のベーレンは、なんと実用譜も同時にセットにして販売してくれています。二重に有難いですね!


さて、このベーレン版の「べトコン(ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の通称)」はどのようなものなのでしょうか。カタログでは、オーケストラ用のスコアには100か所以上の訂正と、独奏パートにも音の訂正があると記されております。


いまから非常に楽しみです!(ちなみに私は楽譜を買うだけで満足する性格の典型です。


飯塚

posted by suzukimethod at 23:44| 音楽コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする