音楽は言葉を越えた文化の代表でありながら、音楽そのものは、言葉の影響を少なからず受けて成り立っています。
例えば、我々日本人が作る音楽は日本語のリズムや抑揚をいつの間にか反映したものになっている、というわけです。
もちろん、特に現代のように世界同時進行的な世の中では絶対ではありませんが、時代を遡るほど、歌詞の有無に拘わらず、そうした影響がその音楽の「アイデンティティ」を作る一つの要素になっているということは、間違いなく言えると思います。
ですから、たとえ何となくでも、色々な外国語の発音やイントネーションのイメージを頭の隅に置いておくことは、外国の音楽を解釈、理解したり演奏、表現したりする際に、非常に役に立ちます。
他にも、いわゆる「国民性」やその国の文化なども、当然ながら影響していますが、やはり言葉によるそれはとてもストレートに現れます。
イタリア語の母音の豊かさが、あのカンタービレを作り出すのでしょうし、
ドイツ音楽のキッチリとした進行はドイツ語の響きに似ていますし、
フランス音楽の持つ独特のアンニュイさは、フランス語の雰囲気そのものですし、
英語のポップスに良くある速いスキップのようなリズムは、英語の抑揚そのまんまです。
以前、「マザーグース」の詩を吹き込んだCDを聴いたところ、それがなんとイギリス起源のダンス、「ジーグ」のリズムと全く同じでした!
音楽は文化交流の入り口となり、言葉がその次のステップとなるのですね。
飯塚
ラベル:言葉
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