2019年05月28日

楽しく弾くとは

久しぶりに、お知らせ以外の投稿を!


これから楽器をお子様に習わせてみたい、あるいはご自身で習ってみたいとご検討中の皆様から頂くお問い合わせの中で時々耳に致しますものに、

『プロになるわけではないので、楽しく出来れば良い』

という趣旨のことがございます。


もちろん、私どもスズキ・メソードは楽器のプロを目指す専門家の養成を主眼としておりませんので、その『プロになるわけではない』という目的には合致するのですが、しかしながら『楽しく出来れば良い』の部分は非常に難しいな、といつも感じます。


と申しますのも、それがもし、

『楽曲を弾けるようになるために必要不可欠な練習や、それに伴う(主に精神的な)葛藤や苦痛抜きで!』

ということとなりますと、これは問題です!


もちろん、特に大人の方ともなれば、初歩の楽曲のうちはさほどの練習量がなくとも実際クリアできるかと思います。

もしもその「クリア」のハードルが「ノーミスで弾く」程度のところに設定されていれば、尚のこと、何回かに一回は必ず「成功=クリア」出来るでしょう。


ですが、徐々に曲が難しくなりますと、間に合わせの技術力ではツケが回ってきます。


必要な積み重ねが少なければ、より難易度の高い楽曲が全く思うように弾けず、トライしていても自己嫌悪のような気持ちにすらなり、ちっとも『楽しくない』のです!


本当の楽しさや喜びは、目の前の目標に向かってチャレンジして、失敗を重ねながら、徐々に出来るようになり、最後には何度弾いても間違わなくなり、人によってその仕上がりに程度の差こそあれ、さらに一歩進んで音楽的な表現まで出来るようになる!時に訪れます。これは楽器に限らず、誰しもが似たようなことを様々な形で経験していることです。


しかも本当に大切なのは、ある曲が弾けるようになったかどうかではなく、その過程で手にする、

「辛抱強さ」
「努力する心」
「自分を高めようとする心」
「あきらめない心」
「学ぶことへの喜び」
「達成感」

などなどですよね。


それが身につくのであれば、楽器以外のことでも人生を生きる助けとなります。

そしてそれこそが、スズキ・メソードの目的でもあります。


『楽しく出来れば良い』の言葉の奥に、いつも難しいものを感じる所以です。


飯塚
posted by suzukimethod at 17:59| 音楽コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする