本日、台原コミュニティーセンターにて、3月15日のコンサートに向けての練習会を行ってまいりました!
全体「練習」としては、実は今日がほぼ最後の機会となります。
次回はほぼ本番通りの通し稽古、いわゆる『ゲネプロ』ですから、時間に追われてあまり繰り返している暇はないことでしょう…。
少しでも本番がスムースな流れで円滑に進むよう、そして生徒さんたちが気持ちよく演奏できるよう、良いシミュレーションの機会にしたいと思います!
さて、今日からはプログラムの曲目解説などを少しずつお届けして参ります。
まず初めは、当日も1曲目に演奏されます、クライスラー作曲の「マルティーニのスタイルによるアンダンティーノ」からです。
クライスラーは20世紀はじめに活躍した、当時の大ヴァイオリニスト兼作曲家でした。
自身の曲のみならず、まだあまり世に知られていない「名曲」を掘り出してきては、ピアノと演奏できるようにアレンジし、コンサートで取り上げるのみならず、当時の最新技術であるレコードへの録音を通じ、本当に多くのレパートリーを私たちに提供してくれました。
例えば、有名な「愛の喜び」や「愛の悲しみ」などはクライスラー自身の作曲によるもの、一方、モーツァルトの「ロンド」やタルティーニの「悪魔のトリル」などはアレンジものですが、いずれも現在必ず演奏会などで取り上げられるものですよね。
ところが、この「アレンジ」がちょっと行き過ぎてしまいまして、ちょっと「事件」になりました
本人は「アレンジ」と言って世に送り出したものの、どうにも原曲が見つからず、結局クライスラーの創作であったということが分かったのです!
当時このことは大きなスキャンダルとなったようですが、時を経て、今ではむしろ本当に多くの、重要で、愛すべきレパートリーを数多く提供してくれたことに、非難よりも賞賛が集まっています。
そうした曲の数々に、現在では「○○のスタイルによる〜」という枕詞が付いています。
今回演奏するこの曲も、はじめはクライスラーが「マルティーニ作曲」として発表したものだったのですね。
短いながらも、しっとり且つ起伏にも富んだ、魅力ある一曲です。
飯塚